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グラン・トリノ

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クリント・イーストウッドは一流の映画監督だとは認めるが、いまいち私とは感性がぴったり合わないので、彼の映画にわざわざ映画館まで足を運ぶのはまれなことだった。

ある土曜日の朝、いつものようにFMでピーター・バラカンさんのウイークエンド・サンシャインを聴いていた。それでピーターさんが『グラン・トリノ』を絶賛していた。そしてタイトル曲をかけてくれた。モン族が登場する映画の内容と音楽に惹かれて私はシネコンまで足を運んだ。

映画は朝鮮戦争の帰還兵でフォードで自動車工を50年勤め上げたウォルト・コワルスキーの妻の葬儀のシーンからはじまる。孫のへそだしルックに眉ををひそめ息子のトヨタを苦々しく思うウォルトはへんこで頑固なじいさんである。息子たちとは折り合いがつかず、一人暮らしの自宅のテラスで愛犬のデイジーを話し相手にビールをがぶ飲みする日々。周りはいつの間にかにアジア系の住人ばかりになりウォルトは「米食い虫」と差別主義者よろしく思っている。
ところが、とあることがきっかけで隣人のモン族の一家とつきあうはめになる。最初は異文化にまったくの拒否反応をしめすウォルトだが、彼らと触れ合ううちに、父親がいなくどうしたらいいかわからない少年のタオに、男としての生き方を教えるようになっていく。そしてタオのために思って取ったウォルトの行為が思いがけない結果を招くことになる・・・・・・

少年であるタオを男として導くことにより、ウォルトは自らの生き方に折り合いをつけ本当の意味での『男』になるのである。そこがとても良かった。

ヴィンデージもののワインのように深い深い余韻を残して映画は終わる。
エンディングの音楽が心に染み入る。

スラムドッグ$ミリオネアも良かったけれど映画人としてイーストウッドのほうがはるかに格が上なんだな。そんなことを漠然と思った。

言うまでもなくグラン・トリノはフォードの72年のヴィンテージカー。実に美しい。

グラン・トリノ公式サイト
http://wwws.warnerbros.co.jp/grantorino/
by habezo | 2009-05-07 16:24 | 映画 | Trackback | Comments(0)