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彼を助けなかった100足の靴下

ビッグイシューの161号の記事で、世界各国のハイストリート(目抜き通り)で売られるファッションのために第三国の労働者達(多くが女性やこども)が一日12時間も低賃金で働いていることを知った。有名ブランドで売られる服が奴隷並みの環境下で作られていること、その上、自然でいいと思っているコットンの原料の綿花に散布される農薬の割合は世界全体の農薬料の1/4も占めていること、遺伝子組み換えのコットンも多く栽培されていることも。

独裁国家のウズベキスタンでは綿花の栽培に多量の農薬が使われ広大な土地が汚染され、栽培にのための水の確保のために巨大なアラル海はほとんど干上がってしまったそうだ。

06年のケンブリッジ大学の調査によると私たちは5年前と比べて30パーセント以上多くの服を買っているそうだ。
06年の調査でこれだから今ではもっと多いに違いない。

ワンシーズン着れば流行遅れになり『ゴミ』になるモノを買うために私たちは貴重な時間を使い労働するだけでなく、無意識のうちに誰かを搾取して踏みつけその上地球を汚している。

新しいモノを買うと一瞬は快感を得られ満足する。その一瞬のために。

このビッグイシューの記事で私は仕事を辞めて引きこもり、去年亡くなってしまった昔の上司のことを思い出した。

仕事柄、彼はとてもおしゃれだった。彼が最後に付き合っていた彼女から、靴下なんか100足以上持っていたことを聞いた。靴下でこれだからコムデギャルソンやクリッツアのスーツやらシャツなどはいったい何着持っていたのだろうか?

膨大なモノに囲まれていても彼は傷ついた自分を取り戻せなかった。

とても聡明だった彼は、昔、私に劣悪な環境で働いている原発労働者のことを教えてくれた。

彼がまだもしも生きていたならば、私は彼にスウェットショップと呼ばれる劣悪な環境で働く第三国の労働者のことを教えてあげたい。

そして100足の靴下よりも彼を助ける『コトバ』をそっと渡してあげたいと思う。
by habezo | 2011-06-30 16:44 | 生活のスタイル | Trackback | Comments(0)