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ホワイト・ゴッド


友人からの映画を見たらブログに映画評を書いてとのリクエストにお応えして「ホワイト・ゴッド」の映画評を書くことにする。

映画は冒頭、牛の解体現場から始まる。私はもう肉を食べないからカンケーないがまだ食肉している人たちにとってはかなりショッキングなシーン。映画は出だしからあっと息をのませる。

雑種犬に税金を課すと言う悪法のために少女リリ(映画初出演のジョーフィア・ブショッタがクールビューティーで13歳とは思えない演技)は愛犬ハーゲンと父親によって引き離されてしまう。

お腹をすかせ車にひかれそうになり町を彷徨うハーゲン。ホームレスに餌に釣られて捕まり、野犬ブローカーに売り払われ、そこからまた闘犬として売られて行く。この闘犬として鍛えられるシーンには笑ってしまう。栄養を強化した食事を与えられ、筋肉を鍛えられ、ドッグランマシーン?にのせられ強制ランニングさせられる。まるでオリンピックで勝つために鍛えられる選手みたいだ。

闘犬として強くなったハーゲンは試合に勝つ。でも相手を倒したことでふと我にかえり悲しみを覚える。この辺の演技が全く犬とは思えなくてすごくハーゲンに感情移入してしまった。

一方リリは必死でチラシをはってハーゲンを探す。彼女には意思の疎通が出来ない父(両親は離婚していて母はオーストラリア?オーストリア?に出かけその間父に預けられている)との余儀なくされた生活と学校でオーケストラの演奏の練習もある。一番繊細で微妙な時期に彼女を守ってくれるはずの父親とはうまくいかず、愛情をかける対象のハーゲンは行方不明だ。

一方ハーゲンは闘犬場から逃げ出したものの、野犬狩りに捕まってしまい野犬の収容施設に入れられてしまう。「ホワイト・ゴッド」たちの理不尽な扱いにハーゲンの怒りのパワーが炸裂し野犬たちが一気に町に解き放たれる。

このシーンで感情移入してしまい犬たちと町を疾走している感覚に襲われた。

ラスト、シュールな映像が圧巻。是非映画館で見て欲しい。

監督のコーネル・ムンドルッツオの作品は始めて見たが力強い映像といい、クラブでのシーンやオーケストラでの音楽の使い方といい並々ならぬ力量の持ち主と見た。次回作が楽しみである。

そしてアカデミー男優賞はハーゲンに。助演女優賞?はハーゲンの友達の可愛いブチの犬にあげたい。
必見!

ホワイト・ゴッド オフィシャルサイト
http://www.whitegod.net/

Commented by mika-atori at 2016-02-02 16:42
素晴らしい映画を教えてくださってありがとう。ところが大阪ではもう上映が終了。それでもどうしても見たくて。見ておくべきだと思うので、岐阜か岡山にえいやっと行ってこようと思います。車飛ばして。見ておかなきゃ。後悔したくないから。
Commented by habezo at 2016-02-03 07:47
mika-atoriさん、この映画ではほぼ保護施設から集められたい犬たちが出演したそうですが、撮影終了後、犬たちの里親を募った所、映画に出たスター犬を引き取りたいと、全部の犬たちが貰われたそうです。良かったですね!

それから、映画では妻に逃げられ、仕事も降格されたらしいダメダメ男の父親が最後娘を助けようと必死になる所が素晴らしかったです。

岡山では、映画に人生をかけた「へんこ」のおじさんが映画館主です。映画館には拾われて飼われている猫もいますよ(笑)
by habezo | 2016-02-01 10:54 | 映画 | Trackback | Comments(2)