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イントゥ・ザ・ワイルド

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ショーン・ペンはハリウッドきっての知識人である。そして彼はトゥルーサー!9月11日に疑問を抱くひとりだ。マドンナとも結婚したことのあるガッツのある男。そのショーン・ペンが原作『荒野へ』をむさぼり読み映画化を熱望して10年の歳月をかけた作品がイントゥ・ザ・ワイルドである。

ヴァージニアのめぐまれた家庭に育ち大学は優秀な成績で卒業したクリス。けれど彼はあるとき2万ドルの貯金は寄付しクレジットカードも車もなにもかも捨てて名前も変え誰にも告げずに放浪の旅に出る。めざすのは北ーアラスカ。ただ自分ひとりだけになり自給自足し真理を追究するために・・・・・

放浪の途中に出会うさまざまな人とのふれあい。車で放浪するヒッピーの夫婦、農場主、孤独な皮職人の老人、ジョニ・ミッチェルーみたいにギターを弾いて歌う少女。彼らにクリスは忘れがたい印象を残していく。その限りない純粋さゆえに。彼らに愛され気遣われながらもクリスは荒野をめざして旅立っていく。

アラスカ山麓のふもとで打ち捨てられたバスを見つけクリスはそこにとどまり狩りをし日記をつけ思索する日々を送る。トルストイやジャック・ロンドンやソローに傾倒するクリスの夢見た理想的な暮らし。しかし自然は厳しく、春には川は増流して渡って元に戻れなくなる。撃ったヘラジカは大きすぎて解体と保存に失敗し、毒のあるワイルドポテトを食べて苦しみ、食料に事欠きだんだん飢餓状態に陥っていく・・・・・

若さゆえの無謀さと思い込みでで突っ走るクリスが痛々しく切なくまたいとおしい。そして若さゆえの輝きが見るものにまぶしい。

『モーターサイクル・ダイアリーズ』で見事な映像美をみせてくれた撮影監督のエリック・ゴーディエのとらえるアメリカやアラスカの自然が息を呑むほど美しい。そして美しい映像にかぶさるアコースティックをメインにしたエディー・ヴェダーの音楽も素晴らしい。

主役のクリスを演じたエミール・ハーシュが最後は18キロも体重を落としたそうで熱演。笑顔がとてもキュートでこれからが楽しみな男優だ。

ショーン・ペン監督の力作。ジョン・クラカワー原作の『荒野へ』も忘れがたい印象を残す一作である。映画とともにこれもお勧め。

イントゥ・ザ・ワイルド公式サイト
http://intothewild.jp/top.html
音楽が聴けて見やすい英語のサイト
http://www.intothewildmovie.co.uk/intl/au/
by habezo | 2008-09-20 14:59 | 映画 | Trackback | Comments(0)