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マイレージ・マイライフ

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ジョージ・クルーニ演じるところのライアン・ビンガムは凄腕のリストラ請負人。年間322日も出張し飛行機と空港が我が家のようなもの。バックパックに収まらない荷物は持たず、リストラを宣告した相手とはその場限り。彼の夢はマイレージをためて1000マイルに達すること。

そんなライアンの職場にネットでリストラを宣告するシステムを考えだした新人のナタリーが現れる。あともう少しで1000マイルなのにその出張が危うくなる。新人のナタリーの教育係を命じられ彼女と一緒に出張するはめになるライアン。渋々ナタリーと一緒に仕事をし、妹の結婚式に出席したり、ライアンと同じように飛び回るキャリアウーマンのアレックスとつきあったりするうちにライアンに変化が訪れる・・・・・・

『JUNO』でテンポよく現代のアメリカを切り取って見せてくれた監督のジェイソン・ライトマンが今回もなかなか辛口でウイットの効いた映画を見せてくれる。

『マイレージ・マイライフ』ではいきなりばっさりリストラされる人々の言葉や映像がとてもリアル。今の多くの日本人が見たら人ごととは思えないんじゃないかな。リストラされて一番つらいのは自分が無価値な人間だと思わされてしまうことだと思う。

そのなかでも、JUNOの父親役で渋いところを見せてくれたJ・Kシモンズとライアンのやり取りが印象に残った。
子供になんと言ったらいいんだとなげくJ・Kシモンズ演ずるところのボブにライアンはあなたは夢をなくしてはいないかと問うのである。ボブにフレンチの料理人の経歴があったのを事前に調べていたライアンは、今の会社員の仕事はあなたの本当にやりたいことだったのかとたずねるのだ。映画の中できらりと光るいいシーンだった。

それとホテルで招待されていないのにこっそり機械メーカーのパーティーに紛れ込んだライアンとアレックス、ナタリーがはめを外してハチャメチャになるシーンがアメリカらしくてとても楽しい。

ジェイソン・ライトマンという監督は人間に向ける視線が限りなくやさしいんだな。
サンキュー・スモーキングもよかったし、若手でとても楽しみな監督である(写真を見る限りなかなかイケメンでもある)。

この人は音楽の使い方がとてもうまいが、今回の映画の冒頭で使われる迫力あるThis Land is your Landにはのけぞった。これはあのウッディ・ガスリーの名曲である。すばらしいアレンジとそれにかぶさる映像が実に決まっていた。エンドロールで流れる曲のシンガー、ケヴィン・レリックという人は実生活で本当にリストラされて曲を作り監督に送って曲が採用されたというもの。

ほろ苦いラストがなかなか。
ジェイソン・ライトマン監督の次回作が楽しみだ。

マイレージ・マイライフ公式サイト
http://www.mile-life.jp/
by habezo | 2010-05-15 17:54 | 映画 | Trackback | Comments(0)