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アカデミー賞 2008

友人が2008年のアカデミー賞の授賞式を録画してくれたので、ビデオで見る(うちはまだビデオそれでTVは一切見ない)。賞のことは私にとって映画を見る基準とは関係ない。それよりもアメリカの政治的、思想的な動向が色濃く反映されているのが私には興味深い。だって映画はすんごいブロバカンダだもんね。

さて今回の作品賞はコーエン兄弟の「ノーカントリー」。コーエン兄弟の作品では私は「ビック・リボウスキー」「オー・ブラザー!」が大好きだ。「ビック・リボウスキー」ではフセインのボウリングシューズ貸し出し係りが最高におかしかった。「オー・ブラザー!」でのヘアネットをかぶったジョージ・クルーニよかったね。「ノーカントリー」でもアイロニーが効いているのかな。予告編で見たが、おかっぱ頭(安藤忠雄先生か)の不気味な殺し屋のハビエル・ダニエルがすごい存在感。彼は助演男優賞受賞。スピーチで
「史上最悪の髪型にしてくれてありがとう!」
と言って場内を沸かせていた。ペネロペクルスの恋人だそうだが、ラテンの男らしくホットな雰囲気。ちょっと気になる。
主演女優賞がフランスのマリオン・コティヤール。とても感激していた彼女を最後まできっちりサポートしていた去年の主演男優賞の受賞者フォレスト・ウティカーが印象的だった。彼の去年のスピーチは素晴らしかった。

さて今回で一番よかったのはオリジナル歌曲賞を受賞した「onseダブリンの街角で」の受賞曲の演奏。本当に穴の開いたギターを持って現れたグレン・ハザードにびっくり。彼のスピーチも共演したマルケタ・イルグロヴァのスピーチもよかった。ハンディカメラで作った低予算の作品がハリウッドの大作と勝負できたこと、夢をあきらめなければいつかはかなうことを、しっかりスピーチしてくれた。それから、グレン・ハザードが他の受賞者のように黒のタキシードでなく普通のジャケット姿だったのが素敵だった。日本の学生服じゃあるまいし21世紀の現代に男のフォーマルが黒のタキシードなんてもうバカバカしいと思う。いいかげんにやめてくれ。

へぇーと思ったのが長編ドキュメンタリー賞を受賞した「闇へ」。これはアフガニスタンの米軍基地でアフガニスタン人のタクシー運転手がテロリストと疑われ拷問の末に殺された事件を描いた作品である。それこそアメリカの闇の部分に光を当てた作品なのでこういう作品に賞が与えられたことが実に興味深かった。

今年は地味な小品が多かったそうである。今や世界のNO1から転げ落ち行くアメリカはどこに行ってよいかさ迷っているのであろう。まさに「ノーカントリー」ぴったりのネーミングである。
by habezo | 2008-03-15 16:26 | 映画 | Trackback | Comments(0)