台風が来て、風がびゅんびゅん吹いて、外に出たくても出られない日、1日で読了した本。
「野生のベリージャム」作者は小島聖。TVも日本映画も見ない私はこの人が女優さんとはまるで知らなかった。タイトルに惹かれて図書館で借りた本です。
プロローグ 「山と食と私」で、聖という名前が山が大好きな彼女の父が南アルプス聖岳からとったことが書かれている。そのプロローグの文章がなかなかいい感じ。
ネパール。トレッキングの合間に食べるチベタンブレッドやダルバートが実においしそう。ざっくりと簡単なレシピが書かれている。素朴なネパールに惹かれ何度も訪れるのがわかるような写真と文章が素敵。
スイス、モンテローザ、マッターホルン。ザイルで繋がれ頂上を目指す。クレバスに一度落ちそうになるもザイルで繋がれ難を逃れたモンテローザ。横を大きな岩が落ちていくマッターホルン。頭で考えるよりも体を使って実践を繰り返すことで楽しさ、大変さ、テクニックを学んでいく。この辺りは女優さんならではかな。
モンブランの頂上で「モンブラン」を食べようと画策するのも楽しい。実現した時の嬉しそうなこと。やっぱり女子にはスイーツですね。
そして、この本の中で一番長い文章が書かれている「ジョン・ミューア・トレイル」
シエラ・クラブの創設者の名前が付けられたヨセミテの211マイル(340キロ)を20日かけて歩いた日記。
一緒に行く友人との二人分の食料を用意し、21キロあるザックを背負って、1日8時間から9時間半歩き通す。夜はテントを張って寝袋で寝る。熊に注意しながら女性二人で(途中3人の時もある)トレッキングする。昼間お互い考えていることは、夜は何を食べるかということ!その食料は軽くするために、乾燥野菜だったり、フリーズドライのものだったり、アルファ米だったり、クスクスやキヌアだったり。水も貴重なためにパスタを作れば茹で汁に乾燥野菜を入れてスープにしたり工夫している。
雨に濡れたり、気温の変化や、腰や足の痛みに苦労したりしながらも毎日食べたものの記録はしっかり。トレッキングする人には参考になるのではないかな。
やり通して、モーテルでシャワーを浴びた著者と同じように読んでいる方もシャワーを浴びてすっきりした気分になる。すべてはタイミング。今だからできたこと。ほんとそうですね。
第3章 アラスカ
211マイル歩き通した著者は細胞が入れ替わったか、今までの殻が破れたか、新しい変化が訪れている。
カヤックで移動する旅はアラスカは12年アラスカ歴のあるパートナーと一緒である。
アラスカで炊く白米のおいしさ。緊張の連続で乗り切ったカヤックで上陸したキャビンのある地点にたわわに実っていた野性のベリー。キングサーモン、山で焼くホットケーキ。写真はどれもおいしそう。
ラスト、3年目のアラスカは著者は妊娠6ヶ月。雪道をざくざく歩く。
エピローグで、山を歩く楽しさを伝えたかったという著者。出産もした彼女は3人でこれからも歩くことだろう。この人はソール・ベローもジョン・クラカワーも読んでいて知的な人。文章はシンプルだけれどとても読みやすく楽しかった。
私は精神的にぐちゃぐちゃだった10代の頃、こんな本を読んでいたらよかったなと思った。そしてかっこいい女優さんがトレッキングや登山するのを知って、10代の頃から、そんな風に肉体を使うようになっていればよかったのになとつくづく思う。生き方もきっと違っていただろう。
10代や20代の人こそ読んでもらいたい「野性のベリージャム」です。
小島聖さんがトレイルへ持って行ったアルファ米。お水だけでご飯になる。災害の時の非常食にも。

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